アナログレコードをハイレゾで楽む~レコード盤のノイズ除去

2020/04/27

 中古のレコード盤の入手後、必ず洗浄して、TASCAM DV-RA1000HDで192KHz/24bitでデジタル化後、クラシック・フォーク・ポピュラー音楽などを楽しめるようになりました。ただ、レコード盤を水洗浄していますので、盤面の塵の影響はないはずですが、レコード盤の状態が悪いとノイズや歪が気になることがあります。中古のレコード盤の場合は、購入後でしか盤面の状態がわからないことが多く、宿命のようです。


①レコード盤の引っかき傷・塵による溝の傷により、クリックノイズ

②レコード溝劣化(針および、微細ほこり等による溝の引っかき傷)による小さなレベルのクラックノイズ・女性ボーカルの歪


①は、大きなノイズであると、同じ位置で聞こえるので、気になります。②のクラックノイズは、全体的に聞こえるので、何とかしたいものです。②の女性ボーカルの歪は、改善が難しいと思います。


試しに、世の中にあるノイズクリーナーソフトを調べてみると、「Digital Sound Cleaner」「Audacityのクリックノイズ除去エフェクト」などがありますが、原音までに悪影響が出やすい傾向にあります。


そこで、波形を目で見て手修正することを自動的に行うイメージで、できるだけノイズのみを除去する192kHz/24bit専用クリーナーを作成してみました。完全にノイズを除去するところまではできませんが、原音をできるだけ損なわないようにしてみました。対象ノイズは、中古のレコードの再生でよく問題になる2種類のノイズです。


①レコード盤の傷による比較的大きなレベルのクリックノイズ

 包絡線レベルを越える急峻なパルス状の波形を検出し、ノイズ区間について時間軸を逆にミラーリングして補正

②レコード盤の繰返し再生による溝劣化(針および、微細ほこり等による溝の引っかき傷)による短い区間の比較的小さなレベルのクラックノイズ

 微分波形に含まれる高い周波数成分を検出し、ノイズ区間を直線補間後スムージングして補正


上記の補正方法は、デジタルオーディオの世界で、データが欠落した場合に使われる補間方法です。ノイズの検出条件、補間方法に興味ある方は、ソースコードおよび、そのコメント部をご覧ください。


これでも、拍手・シンバル・ボーカルによっては、影響を受けることがあるので、3レベルに分けたノイズ除去ができるようにしました。ノイズを完全に除去することをできませんが、かなり低減できると思います。


"0" 目立つノイズがある

"1" ノイズレベルが低いが気になるノイズ

"2" 激しいノイズレベル


除去部分の確認には、「Audacity」で、原音と上下反転させたノイズ除去後の信号をmix downして保存すれば、除去された雑音のみを確認できますので、最適なレベルを選択してください。次は、ベートーベン交響曲第九番の冒頭部分の原音と除去できたノイズの例です。



レコードノイズクリーナー(cleaner.exe)ベータ版V0.9(ZIPファイル)

をソースコードと実行形式で公開します。非商用の範囲で自己責任でご使用ください。なお、オリジナル・改訂版を含め、再配布される場合は、ソースコード・ライセンス条件を同梱していただけるようお願いします。


このツールは、Windowsのコマンドプロンプトから使用しますが、下記は、そのパラメータの仕様です。

Command Line:
cleaner.exe [-{v|vv|vvv}] [wav_file_name [ output_fname 
 [ click_level [ crackle_level [ {p|n}{p|n}... ]]]]]
  options:
      v   -> verbose log output
      vv  -> verbose detailed log output
      vvv -> verbose full log output
  arguments:
      wav_file_name -> 24bit stereo WAVE file name
      output_fname  -> cleaned output file
      click_level -> 0:normal click noise
               1:light click noise
               2:havy click noise
      crackle_level -> 0:normal crackle noise
               1:light crackle noise
               2:havy crackle noise
      p | n | c -> 1st culumn for L-ch, 2nd culumn for R-ch, pnpn (default)
               p: apply positive click noise
               n: apply negative click noise
               c: apply crackle noise


オプション例:

2 2 ppnnppcc	レコード盤に深い傷、再生回数により盤面が荒れている場合	
0 2 pnnpcc	レコード盤に傷、再生回数により盤面が荒れている場合
0 0 pnnpcc	再生回数により盤面が荒れている場合
1		わずかなノイズが残っている場合
0 0 pnpn	レコード盤にノイズがある場合(オプションなし時のデフォルト設定)


今回は、MCカートリッジV-57(AT-312EP)の再生信号に絞って、様々な盤面状態のEP7枚、LP40枚のノイズ除去を行ってチューニングしました。他のカートリッジでは異なる結果になるかもしれませんが、了承ください。


アナログレコード音源をハイレゾでクリアに楽しむために、お役に立てれば幸いです。

(再クロール更新:2022/12/22)