アナログレコードをハイレゾで楽む~MM/MC フォノイコライザーの設計・製作

2020/04/23

 アナログレコードを聞くためには、フォノイコライザーが必須です。性能が良いMM/MC対応RIAAイコライザーは、価格が高いので、自作することにしました。


設計目標は、

①MC/MM対応とする

 SWで、入力インピーダンス(100Ω~47KΩ)・アンプゲイン(60dB~40dB@1KHz)を切り替える

②電源ノイズを最小限にするため、電池駆動とする

 006P型リチウムイオン電池を2個搭載し、電源電圧を±7.4V(公称)とする

③電池電圧が限られているなかで、十分なダイナミックレンジを確保する

 CR型であると、初段アンプの出力電圧が確保できないためNF型にする

③入手可能なRIAAイコライザ基板を活用する

 eBayからMMCF10という1回路OPAMPを4個使用したNF型基板が見つかったので、採用する

④RIAAの偏差を入手可能なCR部品でDC~100KHzで±0.2dB偏差で回路設計する

 RIAAネットワークに若松通商から、27KΩ(F)、3.9KΩ(F)、0.027uF(G)、0.082uF(F)を採用する

⑤MCカートリッジ用として、SL-10の仕様S/N比70dB@1KHz以上を目標とする

 低ノイズOPAMPの中から等価入力ノイズ電圧0.1uVを達成できる、LT1115または、LT1028Aを採用し、MCカートリッジ出力電圧に対するS/N比72dBを確保する

⑥念のため、サブソニックフィルターを使用できる


下記は、オリジナルのMMCF10基板です。



参考までに、オリジナルのMMCF10イコライザー部回路ですが、MM専用です。。



MMCF10基板は、RIAAイコライザーとAC整流+3端子レギュレーターから成る電源部分からできていますが、今回は、リチウムイオン電池を使用するので、不要な電源部分をカットします。また、NFフィードバック回路が異なるため、箔カットとドリル穴開けを追加します。これくらいの改造で済むのはありがたいことです。


LTSpiceでシミュレーションを行い、下記のようなRIAA EQ回路としました。



さらに、次の電源回路(リチウムイオン電池の充電回路)ユニバーサル基板で組み立てました。



次に、006P型リチウムイオン電池2個、トグルスイッチ(MM/MC切替、サブソニックフィルター切替、充電+電源)、RCAジャック、ACアダプター用DCジャック、GND端子、LEDなどの部品を格納できるケースを選定します。できるだけ小型にまとめるため、タカチのMB型アルミケース【MB11-3-14】(旧型番:MB-52)高さ:30mm・幅:110mm・奥行:140mmを選定しました。


電源スイッチには、トグルスイッチ 4極 ON-OFF-ON【MS500RB】を使用しました。ONポジションでイコライザーに電源を供給し、片側のみのONポジションで、充電回路を接続する構成にしました。MM/MC切替、サブソニックフィルター切替には、トグルスイッチ 4極 ON-ON【MS500PB】を使用しました。スイッチの使用感を合わせるために、サブソニックフィルター切替は、2回路のみの使用としました。


下記は、その外観です。


(再クロール更新:2022/12/22)

アナログレコードをハイレゾで楽む~Technics SL-7、Kenwood KP-727の整備

2020/04/22

 まず、Technics SL-7の補修です。

まずオーナーマニュアルとサービスマニュアルを探しダウンロードしました。動作状態は、例のごとくアームドライブのゴムベルトが硬化してスリップ状態でしたので、千石電商から1.2mm□、25φのゴムベルトを入手し、交換しました。次は、ビスに付属のゴムワッシャーの交換です。パソコンHDD用のゴム付インチビスのゴムを流用しました。さらに、内部基板類をチェックし、電解コンデンサーの液漏れ等がないことを確認し、問題があれば交換します。幸い、問題ありませんでした。


最後は、内部清掃と汚れ・擦り傷落としです。マジックリンの雑巾で内部清掃を行います。次にキャビネット・コードの汚れ・擦り傷をマジックリン・レクトラクリーン・プラスティックコンパウンドできれいにし、黒マジックでタッチペイントして終了です。


次は、Kenwood KP-727の補修です。

残念ながら、オーナーマニュアルとサービスマニュアルは、見つかりませんでした。動作状態は、同じくアームドライブのゴムベルトが硬化してスリップ状態でしたので、千石電商から0.95mm□、25φのゴムベルトを入手し、交換しました。

次に、補修が必要な部分は、ゴム足です。ゴム足がひび割れ、高さがつぶれ気味の足もありました。補修は、まず、靴底補修接着剤(シューズドクターN)をひび割れ部分に精密ドラーバーや楊枝で塗り込みます。これで全体的に強度が戻ります。高さがつぶれた足には、1mm厚のゴムをリング状に切って、同じ接着剤でカサ上げをし、4本の足の高さを調整します。さらに、内部基板類をチェックし、電解コンデンサーの液漏れ等がないことを確認し、問題があれば交換します。幸い、問題ありませんでした。


最後は、内部清掃と汚れ・擦り傷落としです。マジックリンの雑巾で内部清掃を行います。次にキャビネット・コードの汚れ・擦り傷をマジックリン・レクトラクリーン・プラスティックコンパウンドできれいにし、黒マジックでタッチペイントして終了です。


両者ともに、レコード針は、古くなっていたり、針が折れていたので、eBayで、互換針を発注しました。

(再クロール更新:2022/12/22)

アナログレコードをハイレゾで楽む~導入編

2020/04/21

 新型コロナで騒がしい中ですが、久々にオーディオのブログ投稿をしたいと思います。


これまで、時代の主流のCD、SACDをレトロな自作真空管アンプで楽しんできました。真空管アンプは、スピーカーとの組み合わせと、真空管や回路の種類・組み合わせにより、適度な歪と出力インピーダンスによって、微妙な臨場感・音色を醸し出しています。


一方、CD、SACDは、マスター音源をデジタル技術を通して、ミキシングエンジニアがこれが良いのではないかと考えた再生音源に再現性高く提供してくれます。この再生音源を真空管アンプとスピーカーによる色付けで楽しんできたことになります。CDの20KHz以上の欠落周波数帯の問題の回答として、SACDが発売され、周波数帯の欠落がない良い音ではありますが、再現性が高いが故にマスター音源の良し悪しを引きついで、ある意味面白みが少ない再生音源になっているように感じられてしかたがありません。そこで、音源として色付けの範囲が広いアナログレコードを試してみることにしました。


アナログレコードもオーディオの常でピンキリの世界です。最小限の原資と自己努力(自己満足)が活かせ、お手軽に楽しめる導入計画を練りました。


まず条件を考えてみました。

①アナログ技術が成熟していた往年の機器であること

②機械的な劣化が致命傷になりにくい技術であること

③レコードカートリッジの針が入手できること

④CDのように手軽な操作・メンテナンスができること

⑤デジタル技術で、基本性能の評価を行い、良い音にできること


以上より、ヤフオクなど調べると、ターンテーブルの成熟期に各社が発売したリニアトラッキング方式 レコードプレーヤーがお手軽であることがわかりました。特に、ジャケットサイズのTechnicsのSL-10は、成熟したDDドライブとカートリッジを採用し省スペースで魅力的でした。ところが問題は、MCカートリッジであるため、レコード針の交換ができません。そこで、レコード針の入手性が良いMMカートリッジを搭載したTechnicsのSL-7にターゲットを絞りました。リニアトラッキング方式の場合、T4P規格というメーカー間の互換性が高いカートリッジが使われていますので、この点も評価できます。(反面、高級なカートリッジではありませんが、お手軽さには合っています。)


このSL-7は、MMカートリッジ(EPC-P202C)を採用していますが、ボロンカンチレバーのEPS-202EDが入手できないので、周波数特性を考えると、MCカートリッジも非常に気になりました。各社のリニアトラッキング方式 レコードプレーヤーを調べていくと、MCカートリッジを採用したKenwoodの機種が見つかりました。針交換可能なMCカートリッジ(V-57、AT312EPのOEM)を採用したKP-727です。交換用の針は、eBayで入手可能でした。EVGのPM2323Dですが、中身はAudio Technicaのオリジナルのようです。


それぞれ、ヤフオクとメルカリから動作不良のジャンク品を中古カートリッジ価格相当で入手しました。以上で、①~④が実現できます。⑤については、Ortofonの「Test Record」を使い、パソコンのサウンドキャプチャ機能+「WaveSpectra」で解析することにしました。

(再クロール更新:2022/12/22)