アナログレコードを聞くためには、フォノイコライザーが必須です。性能が良いMM/MC対応RIAAイコライザーは、価格が高いので、自作することにしました。
設計目標は、
①MC/MM対応とする
SWで、入力インピーダンス(100Ω~47KΩ)・アンプゲイン(60dB~40dB@1KHz)を切り替える
②電源ノイズを最小限にするため、電池駆動とする
006P型リチウムイオン電池を2個搭載し、電源電圧を±7.4V(公称)とする
③電池電圧が限られているなかで、十分なダイナミックレンジを確保する
CR型であると、初段アンプの出力電圧が確保できないためNF型にする
③入手可能なRIAAイコライザ基板を活用する
eBayからMMCF10という1回路OPAMPを4個使用したNF型基板が見つかったので、採用する
④RIAAの偏差を入手可能なCR部品でDC~100KHzで±0.2dB偏差で回路設計する
RIAAネットワークに若松通商から、27KΩ(F)、3.9KΩ(F)、0.027uF(G)、0.082uF(F)を採用する
⑤MCカートリッジ用として、SL-10の仕様S/N比70dB@1KHz以上を目標とする
低ノイズOPAMPの中から等価入力ノイズ電圧0.1uVを達成できる、LT1115または、LT1028Aを採用し、MCカートリッジ出力電圧に対するS/N比72dBを確保する
⑥念のため、サブソニックフィルターを使用できる
下記は、オリジナルのMMCF10基板です。
参考までに、オリジナルのMMCF10イコライザー部回路ですが、MM専用です。。
MMCF10基板は、RIAAイコライザーとAC整流+3端子レギュレーターから成る電源部分からできていますが、今回は、リチウムイオン電池を使用するので、不要な電源部分をカットします。また、NFフィードバック回路が異なるため、箔カットとドリル穴開けを追加します。これくらいの改造で済むのはありがたいことです。
LTSpiceでシミュレーションを行い、下記のようなRIAA EQ回路としました。
さらに、次の電源回路(リチウムイオン電池の充電回路)ユニバーサル基板で組み立てました。
次に、006P型リチウムイオン電池2個、トグルスイッチ(MM/MC切替、サブソニックフィルター切替、充電+電源)、RCAジャック、ACアダプター用DCジャック、GND端子、LEDなどの部品を格納できるケースを選定します。できるだけ小型にまとめるため、タカチのMB型アルミケース【MB11-3-14】(旧型番:MB-52)高さ:30mm・幅:110mm・奥行:140mmを選定しました。
電源スイッチには、トグルスイッチ 4極 ON-OFF-ON【MS500RB】を使用しました。ONポジションでイコライザーに電源を供給し、片側のみのONポジションで、充電回路を接続する構成にしました。MM/MC切替、サブソニックフィルター切替には、トグルスイッチ 4極 ON-ON【MS500PB】を使用しました。スイッチの使用感を合わせるために、サブソニックフィルター切替は、2回路のみの使用としました。
下記は、その外観です。