この写真は、以前入手したインテルP4004とセカンドソースのナショセミINS4004Jです。
インテル4004は、写真のように16ピンのDIPのLSIです。4004のマーキングの数字から4004であることがわかります。当時電卓を製造していた日本のビジコン社が米国のインテル社と開発契約を行い、事務用プリンタ電卓Busicom 141-PFに搭載された4ビット・マイクロプロセッサです。開発契約上のチップ名は、NCM-ARU、NCM-ROM、NCM-RAM、NCM-SHRでしたが、インテル社が発表した時点では、各々4004、4001、4002、4003と命名され、MCS-4(Micro Computer Set)と呼ばれました。
4004開発ストーリは、有名です。ビジコン社がインテル社に、ソフトウェアの柔軟性に着目しプログラム駆動の電卓専用LSIを開発依頼したところ、インテル社のエンジニアが提案した、ビジネス的に有利なマイクロプロセッサ命令を採用し、プロセッサ命令による電卓疑似命令(一種の関数)の組み合わせによる、Busicom 141-PF電卓を実現したことでした。
4004マイクロプロセッサの主な仕様:
・ 4ビット・マイクロプロセッサ(16ピンのDIP)
・ 2,300個のPMOS トランジスタ(10μmデザインルール)
・ 4ビット幅の ALU
・ 3レベルのサブルーチン命令を含む46命令
・ 10.8マイクロ秒の命令サイクル(クロック周波数704KHzの8倍周期)
・ 別チップの最大4,096ワード(バイト)のROM、最大1,280文字(ニブル)のRAM
この4004マイクロプロセッサ 50周年に合わせて、今回、SBC4004/Busicom-141PFを
製作してみることにしました。
②Busicom 141-PF
事務用デスクトップ電卓としてプリンタのみで表示器がない電卓でした。14桁まで取り扱えますので100兆円未満までの計算ができます。専任の事務員の方がブラインドタッチで金額計算をこなしていたのではないかと思います。
ビジコン社Busicom 141-PF電卓は、情報処理学会によって2011年、情報処理技術遺産に指定されました。インターネット上のバーチャル博物館「電卓博物館」で展示されていますが、実際に動作可能か定かではありません。
「情報処理学会 コンピュータ博物館」より引用 URL:http://museum.ipsj.or.jp/heritage/2011/img/busicom-n3.jpg
同時期に発売されたOEM商品Unicom System社の141電卓の操作マニュアルがinternet Archiveサイトに掲載されていますので、興味ある方は、参照ください。
インテル4004はすでに希少価値となり、限られた数のチップがeBayなどで取引されています。そのため、インテル4004に触れていただけるため、現在の技術(ArduinoとFPGA)で、お手軽に4004コアおよび、電卓機能を再現してみました。
もちろん、インテル4004用のソケットを設けていますので、実物の4004があれば、その4004が141PF電卓のファームウェアを実行し、4004が検出されなければ、FPGA内蔵の4004コアによって、141PF電卓のファームウェアが実行できます。
内蔵のプリンタは、「EPSON Model-102」ラインプリンタが採用されていましたが、41PF電卓のファームウェアのプリント指令をモニタ・デバッガがエミュレートしていますので、実物と同じ印字結果が得られます。今回は、LED表示器にも入力値、計算結果を表示して使いやすいように再現しました。
下記の写真は、実物の4004を搭載し、電卓プログラムを実行して平方根の計算した結果です。
SBC4004/Busicom-141PFの専用基板は、ピコソフト株式会社様のご協力で、オレンジピコショップより頒布させていただく予定です。次回以降で詳細仕様・製作記事を掲載する予定です。
(再クロール更新:2022/12/22)